『さよならを教えて~comment te dire adieu~』雑記。

”さよなら・・・。今、全ての人に贈る最期の言葉。”



業界の極北にして異形異才異端のソフトハウス・クラフトワークが放つ最狂最悪最高最期の物語。最高クオリティでお届けする、断末魔のファナティックアドベンチャーノベル、『さよならを教えて~comment te dire adieu~』のレビューです。以下、ネタばれ。






主人公は、とある女子校に通う教育実習生。
実習期間を無事に終え、正規の教員になるのが彼の目的だ。
だが、彼は精神的に疲れきっていた。
不安、緊張、対人恐怖……そして、日々襲いかかる悪夢。
放課後の校内で出会う少女たちに対する、恐れ、愛着、情欲。
同僚である大人の女たちに対する、嫌悪感、依存心、禁忌感。
――こんな自分が本当に教員になどなれるのか?
悩む主人公に襲いかかる、義務感と重圧の日々。
彼は、夕映えの放課後を彷徨い続ける。

(Official HomePage)


というわけで、『さよならを教えて』コンプリート。実は今まで敢えて避けてた作品なんですけど、先日ファンサイトができたので記念にやってみました。はい、噂どおり本当に救いようの無いストーリーでしたね。一見すると酷い鬱ゲーなんですが、クリアするとそれはそれは酷い鬱ゲーでした!何を言ってるのかさっぱりわからないと思いますが、私もさっぱりわかりません!でもそんな感じなんです。これってよく『終ノ空』や『ジサツのための101の方法』と比べられがちですけど、そういった単なる電波とはかなり毛色が違うんですよ。「表向き凄い狂気を描いて、裏では精神分析のような冴えた理性を見せるゲーム」とは言い得て妙。まぁ末期的な作品であることには違いないですけどね。


「そうです。あのコが僕の畏敬する天使様なのです」
(人見広介)


曰く、最狂最悪最高最期の物語。描くのは、華麗にして汚濁の脚本、石埜三千穂。美麗にして醜悪なグラフィック、長岡建蔵。清浄にして混沌のBGM、さっぽろももこ。世界観の構築という意味ではまさに完璧で、全ての要素が絶妙に絡み合いプレイヤーを狂気の世界へと誘います。そしてそこに描かれるのは、異常とも言える救いの無さ。作品内で唯一の希望ともいえるメインヒロインでさえ、その結末は変わることはありません。噛み合っているようで全く噛み合っていない会話。そしてお決まりの「インターン」。そう、彼と彼以外の間にあるのは深い奈落だけ。彼はそこに滑り落ちるしかないのです。


「結局、彼は負けちゃったんだ、現実に・・・・妄想にも」
(大森となえ)


永遠に続く黄昏の中、徐々に狂気を帯びていく主人公。自分を相手に投影して、でも、自分の思い通りの理想を押し付けることもできずに、また自己嫌悪に陥る。彼は自分の罪、自分の過ち、自分の欠点をひたすらに責め続けます。夕日に染まった世界。終わりなき自問自答。物語を読み深めるほどにプレイヤー自身の精神も侵食されていくことでしょう。テーマ的には『未来にキスを』、『沙耶の唄』、『CROSS†CHANNEL』とかに近いです。いわゆる風刺物。『さよならを教えて』とはよく言ったものですね。つまり、さよならを教えてほしいのは自分自身。鬱です。


「そして無にもなれずに無明をさまよう歪んだ肉細工」
(comment te dire adieu)


だけど無にもなれずに無明をさまよう歪んだ肉。というわけで、主題歌の「comment te dire adieu」も名曲。歌ってるのはI'veのMELLさんなんですが、ループして聞いてるといい感じに狂ってきます。そういえば『ジサツのための101の方法』も、「錆びたハサミでおなか開いてさがして♪」とか、なかなか酷かったですよね。負けず劣らずの神作詞です。あと、この作品って意外と音楽面での演出が細かい。世界観にあってるというのはもちろんなんですが、効果音もいろいろリアルです。いろいろ、ね。チャイム怖い!


総括。貴方の心の深い部分に侵食する、豊穣にして汚濁のシナリオ。たぶん好きな人は堪らなく好きだと思いますが、ダメな人は開始一分で拒否反応が出ます。それ以上やると間違いなくこの人みたいにトラウマになります。すぐにアンインストールしましょう。正直、私も画面の赤が頭に焼き付いて夢に出てきそうなんですけどね!でも、読めば読むほど味がでるのは確かです。それだけの魅力と深淵を本作は持っています。流石にこれを名作と言い切れるほど私も人間終わってないですが、こうして長文レビューを書く程度には嵌りました。あまり褒めると危ない人の烙印を押されかねないので、これくらいにしておきます。
by souryo1023 | 2007-03-17 06:39 | PCゲーム
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